矢野安剛会員が本を上梓されました

  • 2022.11.13

早稲田大学名誉教授であられる矢野安剛会員が、「ことば・文化・教育 – その多様性と共通性」講談社エディトリアル(2020年9月)という著書を出版されましたのでご案内いたします。

矢野会員は、2013年1月から2014年12月の2年間、東京チャプターの第3代会長を務められました。今回上梓された本は、矢野会員の半世紀に及ぶ言語学研究と教育の集大成です。著書の「はじめに」には、「趣味が仕事というなんという幸せな日々だったことか」「定年退職後10年が経ち、専門誌などに発表した論文の主なものをまとめることにした。本書は、私が言語に関する学会誌という内外の電柱や木に後ろ足をあげた、いわば「犬のマーキング」の跡を辿ったようなものである」とあり、矢野会員の温厚なお人柄や、ユーモアのセンスが表れています。また東西センター奨学生となってハワイ大学で学んだことが、言語学への興味を持ったきっかけとなったことも「はじめに」および第Ⅱ部39章(pp.534-535)で触れられています。個人的な感想としては、学術的な論文集ではあるのですが、英語教育に関して、英語表現のHowよりも何を言うかのWhatが重要である、といった記述もあり、プラクティカルな面も見られて、共感するところが多々とありました。

本の後ろの著者の紹介文の最後に「2018年、瑞宝小綬章受勲」とあり、この本を手に取るまで存じ上げませんでした。多くの素晴らしい功績を残していらっしゃいますが、今後もますますのご健康と一層のご活躍を心よりお祈りいたします。

2022年11月5日(横手仁美)